ヒバは日本固有の植物で、ヒノキ科から抽出される和精油です。北海道から栃木県日光付近まで広く分布していますが、約8割以上が青森県に分布する、樹高30mにもなる針葉樹です。
ヒバの別称は「ヒノキアスナロ」。先日まで、朝ドラ「らんまん」の主人公のモデルになっていた牧野富太郎博士がアスナロ属の中に変種があることを発見して、ヒノキアスナロと命名しました。そのため、下記のように学名の終わりにMakinoと記されています。
ヒバの種類
国内のヒバは大きく2つに分類され、北方系と本州の中部より西の南方系に分かれています。
北方系:ヒバ(ヒノキアスナロ)
南方系:アスナロ
北方系のヒバは、300年以上の樹齢をもつ巨木も存在します。ヒバは防虫・防蟻効果が高い、豊かな香りがする、耐久性に優れているなどの効果や特徴が経験的に知られていたことから、古くから城や神社仏閣などの大型伝統建築物に使われていました。例えば1611年に築城された弘前城、1124年に上棟された中尊寺の金色堂などがあります。
ところで、鉛筆の軸はいったいどんな木から出来ているかご存知でしょうか?簡単にいえば「ヒノキ」で、日本の鉛筆メーカーさんは北米産(カナダやカリフォルニア)のインセンスシダーというヒノキ科オニヒバ属の木材を輸入して使っています。
ヒバはヒノキ科アスナロ属で、属名は異なりますが、科名は共通のヒノキ科です。そのため、ヒバの香りを「昔、嗅いだことのある懐かしい香り?」と思われたら、もしかしたら鉛筆の香りを連想されたのかもしれません。
ヒバの芳香成分の一つが
ヒノキチオールです。その名から、ヒノキに多く含まれていると思われがちですが、実は、ヒノキよりヒバに多く含まれています。特に青森ヒバにはヒノキの数倍のヒノキチオールが含まれていることが知られています。この成分は殺菌や防虫、抗菌などに優れているため、建材として使用することで、虫やシロアリ、湿気やカビに強い建築物になると言われています。
青森のヒバ林は、木曽檜、秋田杉と並んで日本三大美林に数えられ、青森のヒバ林は江戸時代からヒバ山を厳しく管理されてきたため、現在まで残っています。ヒバ林のほとんどは下北半島と津軽半島にあり、山間を行くと濃い緑色のヒバ林を随所に見ることが出来るそうです。
ちなみに「青森」という県名は、ヒバの「青々とした森がつらなっている風景」からとったものという説もあるようです。
ヒバ(別名:ヒノキアスナロ)
学 名: Thujopsis dolabrata Sieb. et Tucc. var. hondai Makino
英 名: Aomori cypress
科 名: ヒノキ科 アスナロ属
抽出部分: 木部
抽出方法: 水蒸気蒸留法
主産地: 国産(青森)
主成分: ツヨプセン、セドロール、β−ドラブリン、ヒノキチオール
香りのタイプ: 樹木系
香りの特徴: 針葉樹林特有の懐かしさを感じさせる「森」の香り
ノート: ミドル